トムソーヤの大冒険な毎日を
西田です。みんなから『とーちゃん』って呼ばれてます。
子どもの頃、俺は里山を駆けずり回って遊んでは、
カブトムシの集まるあの匂いを嗅ぐのが、大好きだった。
独特なあの木の匂いを追い求めて、毎日森の中に入っていった。
テレビでやってたトムソーヤの大冒険。
あんなツリーハウスに住むのが、当時の俺の夢だった。
大人になって、社会にもまれて、日々の忙しさで自分を見失い、
妻と子ども4人を養っていかないといけないのに、
ある日 体が動かなくなった。
説明の出来ない涙が溢れて、どうにもこうにも動けなくなった。
うまく笑えなくなり、妻にも子どもにも当たりまくる日々。
そのうち長男は学校に行けなくなった。原因は当然俺だった。
どうしたらいいかわからなくなっていた。
半年が過ぎて、ある日山に入ってみた。
懐かしいあの木の匂いが流れてた。
野山を歩いていると、急に現れたのがいのししだった。
やられる。
一瞬身体がこわばり身構えた。
すると、
俺を見た いのししは
ぷいっと、俺に背中を向けてとことこと走っていった。
「 俺は いのししにも 相手にされなくなったのか。。。 」
何とも言えない涙が流れて止まらなかった。
それでも、山の木の匂いにつられて、畑の土を触って匂いをかいでみたら、
なんかとっても懐かしい気持ちになった。子どもの時のあの日に戻れるような気がした。
土を触ってから、俺は変わった。
毎日、はだしで土を踏む。すると心地よい日々が過ごせた。
そして、家族があきらめずにずっと寄り添ってくれて、支えてくれた。
土があったから、家族がいてくれたから、俺は変われたんだ。
少しずつ自信を取り戻し、だんだんと笑えるようになった。
子どもたちにも妻にも笑顔が戻った。
その頃、岡山の水害で被災された地域に支援に行っている、森源太という男と出会った。
誰かの為に動いて、誰かが喜んでくれることで、彼自身が一番喜ぶことをしていた。
楽しそうに災害支援をしている。結果、みんなが笑顔になり喜んでいる。
手伝ううちに、俺も、自分の心が喜んでいることに気づいた。
俺の心が動く場所は、畑。自分が生かされる場所は畑なんだ。
長い長い時間がかかってしまったけど、やっと自分に出会えた気がした。
畑で、農薬を使わない農業をしていると、当然失敗もある。
土のにおいをかいで、やり方を変える。
土のにおいをかいで、植える場所を変える。
畝によって、土ってにおいが違うんだよ。 知ってるか?
出来た時の喜び、誰かが美味しいと食べてくれる喜び、
自分のやりたいことが、誰かの喜びになっていった。
俺が喜ぶことで、みんなの笑顔を増やしたい。
あの子どもの頃かいだ、あの森のにおい 土のにおい
カブトムシが集まるあの木のにおい
土を触って 自分に戻る
俺は、もともと不器用な人間
かっこいい言葉で自分をつくるのはやめだ。
子どもたちよ、
昔 子どもだった大人たちよ、
一緒にトムソーヤみたいに、冒険するぞ!
とーちゃんプロフィール
- 西田 宏之
大阪府池田市在住。
1975年滋賀県で生まれ、小中学校は野球少年。
高校大学はアメリカンフットボールに打ち込み、人生最大のモテ期を体験する。大学卒業後就職し、のぶ子と結婚。会社員として約20年間勤めるが、いつ頃からか身体に異変を感じはじめ、動けなくなり感情コントロールも出来なくなり、退職。
自然界に心と身体を癒され、土に触れ、土を踏みしめ、土の匂いを嗅ぐ。そんな毎日を送ることで、ゆっくり自分を取り戻していく。
2014年 無農薬での野菜づくりや、アイガモ農法でのお米づくりを本格的に始め、とーちゃん農園ゴリランドの前身、"にこにこ農園"がスタート。家族がいつも自分を勇気づけてくれた。
そんな中、西日本豪雨災害が起こる。大切に育てていたにこにこ農園の野菜も全てが水没。何もかも失った気になる。自身も大変なのに、流れで岡山県で約半年間、災害ボランティア活動に参加し、災害支援Team源のシンガーソングライター森源太をはじめ、沢山の素晴らしい仲間と出逢うことになる。
ありのままの自分で生きる事の大切さを、自然界と仲間の存在から感じ、2021年、自然と繋がり、生命と繋がり、人と繋がる、そんな繋がりが生まれる場所、『とーちゃん農園ゴリランド』を設立する。
夢は、この里山にたくさんの人と、たくさんの笑顔が集い『懐かしい自然。懐かしい未来を築く』こと。